命の花

抜け毛がひどい。
と言っても僕ではない。
老人の毛である。か細い毛がよく落ちる。
皮も落ちる。
フケなのか体中の皮なのか。一枚一枚剥けてゆく。
黒い靴下で歩けば、足の裏は白く染まる。
老人の体から今なおこれ程発せられるモノがあることに驚く。
あるいは桜が花びらを散らすように、散っている最中であろうか。
とまれ悲哀を感ぜずにはいられない。
老人と暮らすことは命の勉強だ。
為す所なく暮らす老人に何の価値があろう、あるある、命の結末に価値がある。
人は生きているだけで人を感化する力がある。
僕にものを考えさせる力がある。


連日、T先生のティータイムにお呼ばれ。


備忘録、次の歯医者12/3(火)15:15