虫にまで憐れみを抱く愚か者

最近鬱陶しい奴がいる。
そいつは青白い。
そいつは宙を舞っている。
そいつは綿のようだ。
とにかく気味の悪い虫である。
寒くなり始めたころから発生し始めた。
こやつが今日干していた僕の洗濯物に付着していた。
人差指でピッと弾くとその綿毛のようなものが爪の先に付いた。
なんとおぞましい。
検索してみると雪虫と呼ばれる虫らしい。
こいつが雪のように見えて、
しかも発生する頃に雪が降るからそう呼ばれているらしい。
とんでもない。月とすっぽんだ。
雪なんて可憐な名前を付けたところで所詮虫だ。
最近蜘蛛の出現が減ったと喜んでいたところでこれだ。
なんて空気読めない虫だ。
べつに絶滅しろなどとは言わない。
なぜ僕の衣類に付着する。
僕に迷惑をかけずに生きてくれたらいいじゃないか。
僕は衣類にお前たちが付いていたら、そりゃ指で弾くよ。
そしたら下手したらお前達死ぬよ。
僕の所有物に付着しなければ指で弾かないし、
僕の周りを飛び回らなければ殺したりはしないさ。
どうして死にたがるのだ。
お前たちは所詮下等生物だ。
僕がこんなにやさしく諭しても解ってはくれないんだろうね。