今日、僕は、悟りを開いた。
汚い部屋の中で悟りを開いたのだ。
なぜ部屋が汚いのかと考えていた。
二時間ぐらい考えていた。
そして掃除をしないから汚いのだという真理に辿り着いた。
その真理を一時間ほど反芻し、ついに掃除をしたのだ。
真理を悟り、その真理に基づいて行動する。
なんと尊いことか。
しかし、何も考えずとも毎日掃除をする者がいる。
彼等の部屋はいつも清浄だ。
彼等からしたら、掃除を始めるまでに三時間もかけるほうが頭がおかしいだろう。
彼等は考えずとも行動に真理が息づいている。
全く、どちらが尊いだろうか。
悟りとは、怠け者が行動を起こすための仰々しい理由付けなのだ。