世々厥ノ美ヲ濟セリ

教育原論の授業で「教育勅語」について学んだことを祖母に話すと、
昔を懐かしんだのか何やら興奮しだした。
配布された教育勅語全文を見せると、しきりにコピーしろとせがむ。
まったく、コピーもタダではないのだ。
よし、復習になるし、自ら写録してやろうと、
旧字体に少し苦しみながら書き写してやった。
すると今度は仮名を振っておけと言う。
ああ、わかったよと、
再び全文を仮名で書いてやった。
すると今度は字が小さいだの読点を打てだの、
いい加減うるさいのでニッコリ微笑んでやったら諦めて受け取った。

戦時中の記憶に連なるようなものでも、
自分の思い出に触れるアイテムは愛しいもののようだ。
アイテムに触れて引き出された思い出が宝物なのだろう。